文武両道の苦労人 #94
2018/10/01(月) 阪神甲子園球場
B10-0T
勝 濵口
負 岩貞
雨天中止の振替試合。
つい先日まで超満員だった甲子園球場に閑古鳥が鳴く。
ただそれは、レフトスタンドの一角を除いての話。
数は決して多くはない。
だが、蒼き応援団の声援はどこよりも熱い。
そして、力強い。
今シーズン散々な目に遭わされてきたタイガース相手に2桁得点。
投げては3投手のリレーで、1安打完封。
先発左腕の濵口遥大の豪腕が唸る。
2番手石田健大の速球が冴え渡る。
そして9回裏のマウンドには、プロ初登板の青年が向かった。
1994年8月7日生まれ。
北海道旭川市出身の24歳。
道立旭川西高校から早稲田大学スポーツ科学部へ進学。
一般入試で合格し、硬式野球部に入部するが、2日で退部してしまう。
体育会的体質に馴染めなかったのだ。
ただ野球への情熱が覚めたわけではなかった。
学問に励み、アルバイトに勤しみ、トレーニングを続けた。
そして、一つの出会いが彼の人生を開く事になる。
谷沢健一。
中日ドラゴンズの名球会選手は、客員教授として彼の講義を担当。
「独立リーグでも受けてみたらどうだ?」
何気ない一言をきっかけに、在学しながら、独立リーグの信濃グランセローズに入団。
大学生と独立リーガーの2足のわらじを履く生活が始まった。
元近鉄、楽天でリリーフとして活躍した有銘兼久コーチらの指導を受けて、その才能が開花。
2016年10月20日。
ドラフト会議でベイスターズから育成1位の指名を受ける。
そして早稲田大学も卒業。
卒業論文のテーマは「クイック投法について」。
文武両道の青春を勝ち抜いたのだ。
今シーズンのキャンプ前には支配下登録。
そしてこの日、学生時代には縁のなかった甲子園のマウンドに、プロとしての第一歩を刻んだ。
タイガース打線を三者凡退に抑え、監督、コーチチームメイトのハイタッチ。
そのウイニングボールは生涯の宝になろう。
10月の戦いの陣列に、新たな若武者がまた一人。
横浜の秋はどこよりも熱い。
戦うぞ
闘志みなぎらせて
勝利の海
ゆくぞ ベイスターズ
横浜DeNAベイスターズ。
背番号94。
笠井崇正。
SPEEDY PROGRESS.
毎日の練習の中で、ひとつでも得るものがあるように。
VICTORY is WITHIN US.
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