大田区からハマの星に祈りをこめて

ベイスターズの試合について熱く書いていきます。1試合に1選手。最も心揺さぶられた事に、全力投球! そしてフルスイングで!

磨穿鉄硯(ませんてっけん) #20

2020年6月25日(木)
横浜スタジアム
ベイスターズ 10-2 ドラゴンズ
勝 坂本裕哉 1勝0敗
負 岡野祐一郎 0勝1敗


左腕がうなる。
ドラゴンズの強打者たちのバットが空を切る。
観客のいないはずのスタジアムに、歓声が響き渡る。


豪快無比。
快刀乱麻。
そして、冷静沈着。


石田健大。
今永昇太。
濵口遥大。
そして、東克樹。


横浜が誇る左腕カルテット。
先輩たちは、ルーキーイヤーから活躍してきた。


その誰もがなしえなかった「初登板初先発初勝利」を、180cm長身左腕はこの日成し遂げた。


6回打者21人。
81球。
被安打1。
奪三振5。
失点0。


先発左腕の初登板初勝利は、1988年の野村弘樹以来31年ぶり。
大卒左腕に限れば球団史上初の快挙だ。


1997年7月28日生まれ。
福岡県福岡市出身の22歳。
福岡大学附属大濠高校から立命館大学へ。


2学年先輩に、東克樹がいた。


大学2年生時の秋の優勝決定戦。エース東が肉離れで登板回避。
彼に先発が告げられたのは、移動のバスの中でのこと。


緊急登板の先発マウンドは、5回途中で無念のノックアウト。
先輩たちの最後のリーグ戦。
優勝の可能性を消してしまった。


「いい経験になったやんか」


あの時、東からかけられた言葉があったからここまで頑張れた。


憧れの先輩はプロ入り後、世間をあっと言わせる大活躍で堂々の2018年新人王。


運命に導かれるように、2019年ドラフト2位でベイスターズからの指名を受けた。


その東は、トミー・ジョン手術を受け、来シーズン以降の復帰を目指している。


「この一年、お前に任せた」


再び受けた先輩からのエールを胸に、ハマスタで快投劇を演じた。


「鈴木誠也さん、山田哲人さん、坂本勇人さんが立っていると思って、インコースに投げました。見逃しストライクを取るイメージです。対戦したい? というよりも、対戦して勝たなくちゃいけないので」
新人合同自主トレで、彼はこう発言している。


その意識の高さは、チームのエースにして「投げる哲学者」に異名をとる今永昇太。
冷静沈着なマウンドさばきは、石田健大。
豪快なピッチングフォームは、濵口遥大。
そして圧倒的な力で相手をねじ伏せるその姿は、東克樹を思い起こさせる。


背番号20が、横浜左腕王国の主役に名乗りを上げた。


「僕自身は絶対に1点もやらないぞという気持ちで投げていました。家族もテレビで見ていてくれたと思います。ウイニングボールは家族に贈ります」


ハマの夜空に新たな星がまた一つ。
横浜の世界一熱い夏が始まった。


左腕がうなれば
狙いははずさない
ピンポイントの技
攻めろ攻めろ 裕哉


横浜DeNAベイスターズ。
背番号20。
坂本裕哉。


Study furiously until I achieve my goal.
磨穿鉄硯(ませんてっけん)--強い意志を持ち続け、物事を達成するまで代えないこと。


心をひとつに。
BECAUSE WE ARE FAMILY.