大田区からハマの星に祈りをこめて

ベイスターズの試合について熱く書いていきます。1試合に1選手。最も心揺さぶられた事に、全力投球! そしてフルスイングで!

ハマスタを駆ける蒼い韋駄天 #3

2020年9月19日(土)
横浜スタジアム
ベイスターズ 7-1 ジャイアンツ
勝 濵口遥大 5勝4敗
負 今村信貴 3勝1敗


再び灯された炎は、更に燃え上がった。


それを13,000人を超える熱き星たちが、熱い拍手とともに見届けた。


1回裏から、頼れるキャプテン佐野恵太の先制打で主導権を握ったベイスターズ。
先制のホームを踏んだのは、蒼い韋駄天だった。


3回裏の第2打席。
強く振り抜いた打球は、この日を待ちに待ったライトスタンドのファンのもとへ突き刺さった。


「頭の整理ができていて、いいイメージで打席に入ることができました。貴重な追加点を取ることができうれしいです」


流れは一気にベイスターズ。
続くネフタリ・ソトの弾丸ライナーは来日通算100号のメモリアル・アーチとなった。


2点リードで迎えた7回表。
「オトコハ、ダマッテ、ナゲルダケ」


エドウィン・エスコバーの渾身の投球で、1アウト満塁の大ピンチをピッチャーゴロ・ダブルプレーで切り抜ける。


ピンチの裏にチャンスあり。
1アウト1塁で、背番号3に打席が回る。


再び強く振り抜いた打球は、熱き星たちの待つライトスタンド中段への2ランホームラン。


この後、キャプテン佐野恵太にも2ランホームランが飛び出し、この回で試合を決めた。


夏場に入り絶好調の彼も、這い上がってきた男の一人だ。


2012年のDeNA新球団発足後、彼は一軍に定着する。


「内野のスーパースターをつくりたいんだ」


初代監督の中畑清は、彼のポテンシャルに注目。
内野のレギュラーに抜擢する。
その期待に応え、2013年後半シーズンにブレイク。


2014年には外野手に転向して、背番号3が与えられた。
走攻守三拍子そろった逸材にファンの期待は高鳴った。


だが甘くないプロの世界。
他球団のマークがきつくなる。


結果が出ない時には、ファンから辛辣なヤジも飛んだ。


当時のハマスタは、自粛もしていないのにスタンドに空席が目立っていた。
だから、ヤジはよく響いた。


「よく聞こえてました。耳栓をして打席に入っていた時期もありました」


悩み続ける中、その壁を一度は乗り越えた。


再びレギュラーに定着し、チームのクライマックスシリーズや日本シリーズ進出に貢献。


名実ともにチームの看板選手となった。


だが全力プレイは諸刃の剣。
怪我との闘いの中、手術を決断。


回復しきれないまま臨んだ2019年シーズンは、夏場までファームで汗を流した。


「この時期までファームにいると、いろいろ余計なことを考えてしまいました」


様々な思いを胸にシーズン終盤に一軍に合流。
チャンスに強い打撃で、チームの2位躍進に貢献した。


したが、レギュラー奪回を約束されたわけではなかった。


2020年シーズンも、オープン戦では控えの扱い。
だが結果を残し続け、「一番センター」で開幕スタメンの座をもぎ取ってみせた。


そしてこの日も結果を残し、大観衆の前に帰ってきた。


「ファンの皆さんの声援が、私たち選手の力になっています」


「明日もスタンドで、そして球場に来ることができない方はテレビの前で応援をお願いします!」


栄光の頂への可能性は、僅かだが残された。


そして、我々は知っている。


横浜の本当の力を。
熱き星たちの力を。
ここぞという時の力を。


横浜冬の時代を知る男。
どん底から這い上がってきた「蒼い韋駄天」が、ハマスタを駆け抜ける。


灯された炎は、再び燃え上がった。


誰も見たことのないドラマの幕が上がった。


新たな歴史に
その名を刻め
梶谷隆幸
蒼い韋駄天


横浜DeNAベイスターズ。
背番号3。
梶谷隆幸。


I CAN DO IT.
不安があっても「俺はできる」と言い聞かせてプレイに臨む。


心をひとつに。
BECAUSE WE ARE FAMILY.