駆け抜けろ! ハマの蒼い韋駄天 #3
2020年11月1日(日)
横浜スタジアム
ベイスターズ 6x-5 タイガース
勝 三嶋一輝 2勝1敗18S
負 ジョン・エドワーズ 0勝1敗
「今日は奥さんが来ていたので、格好いいところを見せたいと思っていました。最高です!」
ハマの蒼い韋駄天は、安堵の表情を浮かべながら、ヒーローインタビューに応えた。
どちらに転んでもおかしくない、シーソーゲーム。
最後の最後に勝負を決めたのは背番号3だった。
彼は、熱い男だ。
だが、それをうちに秘めて黙々と闘う。
その姿は、仲間たちがよく知っている。
石川雄洋。
2004年ドラフト6位入団。
チームが一番辛い時期に入団し閑古鳥の鳴くハマスタで、明日を信じて闘った同志だ。
長年親しんだ背番号7を42に変更し、並々ならぬ決意で臨んだ2020年シーズン。
一軍に昇格することができなかった。
そして、来シーズンの構想から外れている旨の報道がなされた。
その直後の試合。
ハマスタの1回裏の打席に、彼は石川の入場曲をバックに打席に入る。
その心意気に応援団が応える。
栄冠掴むその日まで
恐れず飛び込めベースへ
君の熱き血潮で 燃えろ雄洋
寺田光輝。
2017年ドラフト6位入団。
父は内科医、父方の祖父と伯父は産婦人科医、父のいとこは外科医、弟は研修医。
その中で野球の道を進んだ寺田。
三重大学中退後、筑波大学へ入学。
銀行への内定を辞退してBCリーグの石川ミリオンスターズへ。
そこからプロへの狭き門をくぐったが、一軍昇格はなく昨年オフに戦力外通告を受けた。
「はっきり言って、お前はクビになると思ってたよ。センスもねえし、能力も低い。頑張ってるのはわかるけど、無理だと思った」
ファームで長い時間をともにしていた背番号3は、後輩に容赦なくキツい言葉をかけた。
そして、涙を浮かべて語り続けた。
「俺は家族ができて、守るものができて、命懸けで野球をやってる。お前は医者を目指すん
だろ。それなら命を懸けて、人生を懸けてやれよ」
寺田は、28歳にしてはじめて医師の道を志していた。
プロ野球経験者で、医師に転身した例はない。
尊敬する先輩の言葉で、前人未踏の道を歩むハラが決まった。
高森勇旗。
2006年高校生ドラフト4位で入団。
岐阜県の中京高校出身の高森は、背番号は62。
島根県の開星高校出身の彼は、背番号63。
共にハマスタで活躍する夢を見て、横須賀で汗を流した。
だが、その願いは叶わなかった。
「明日、事務所に来てくれ。スーツでだ」
2012年10月2日。
戦力外通告を受けた後、グラウンドに挨拶に訪れた高森。
泥だらけのユニフォームで迎えた彼と抱き合った。
二人とも泣いていた。
見守るチームメイトも泣いていた。
高森は現在、スポールライターなど幅広い分野で活躍している。
数え切れないたくさんの人生を背負って、背番号3は今日もグラウンドを駆け抜ける。
「残り試合、一試合一試合必死に頑張ります!」
波瀾万丈の2020年シーズンもあと僅か。
最後の最後まで、走り抜こう!
新たな歴史に
その名を刻め
梶谷隆幸
蒼い韋駄天
横浜DeNAベイスターズ。
背番号3。
梶谷隆幸。
I CAN DO IT.
不安があっても「俺はできる」と言い聞かせてプレイに臨む。
心をひとつに。
BECAUSE WE ARE FAMILY.
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