2018/05/22(火) 横浜スタジアム
5/22
B0-8D
勝 山井
負 飯塚
「明日、球団事務所に来てくれ。スーツでだ」
2012年10月6日。
横浜ベイスターズ内野手の高森勇旗は、球団事務所に呼び出される。
「戦力外通告」
プロ野球選手に対しての契約解除は、実にあっさり行われる。
ここまで積み上げてきた人生を否定されるかのように。
わずか10分程度の通告後、高森はグラウンドに挨拶に行く。
スーツで同僚が練習場に現れる意味は、皆が知っている。
これまでの御礼を丁寧に告げる中で、一人の男が彼の前に現れる。
2006年高校生ドラフト同期。
彼は3位。背番号63。
高森は4位。背番号62。
横浜スタジアムで活躍する事を夢見て、横須賀で共に汗を流してきた。
厳しい練習に耐え抜いてきた。
だが、その仲間が同僚でなくなる。
着慣れぬスーツとユニフォームの男が抱き合う。
汗と涙が染み込んでいく。
2人を見守る仲間も、皆泣いていた。
「俺たちはみんな、いつか野球を辞める時が必ずくる。そしたらその時はどうか、『この世界に入ることができた』ということに誇りを持って辞めていってほしい。この世界に入ることは、普通のことじゃないんだ。だから、何もマイナスなことはない。胸を張って辞めていってほしい」(横浜ベイスターズ元二軍監督 田代富雄)
高森はフリーライターとして、堂々と新しい人生を切り開いている。
あの日、友と抱き合い涙を流しあった彼は、ベイスターズの看板選手の一人として、今日もスタメンに名を連ねた。
敗色が濃厚な9回裏、彼は打席に立った。
皆の思いを背負ってバットを振り抜いた。
打球は左中間フェンス最上段直撃のツーベースヒット。
結果、大ベテラン山井大介に完封を許すことにはなったが、ここから明日への戦いが始まった。
新たな歴史に
その名を刻め
梶谷隆幸
蒼い韋駄天
横浜DeNAベイスターズ。
背番号3。
梶谷隆幸。
明日もハマスタを駆け抜けろ!
VICTORY is WITHIN US.
(参考文献 俺たちの「戦力外通告」 高森勇旗著 ウェッジ)
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。