痛みなくして得るものなし #10
2018/07/05(木) 東京ドーム
B6-4G
勝 今永
負 山口俊
S 山﨑
連日の打撃戦。
得点しては追い上げられる苦しい展開。だが一度もリードを許すことなく逃げ切り、ビジターでのカード勝ち越しを決めた。
そこには、この日久々先発マスクの彼の攻守にわたる活躍があった。
常勝チームに名捕手あり。
ベイスターズ2000年代の低迷の原因。
それは、2001年オフの谷繁元信のFA退団に端を発する。
1989年。
横浜大洋ホエールズ時代に10代でデビュー。
遠藤一彦、斉藤明雄ら球団のレジェンド。
野村弘樹、斎藤隆、三浦大輔ら、1998年黄金の先発陣。
そして、ハマの大魔神 佐々木主浩。
錚々たる面々とバッテリーを組んできた生ける財産を、球団は放出してしまう。
以来、正捕手の育成に苦しみ抜いてきた。
ドラゴンズに移籍後、常に優勝を争うチームにあって、古巣の低迷に谷繁は何を思ったか。
潮目が変わるのは、2011年オフ。
球団売却騒動の中、ドラフト2位で九州国際大学付属高校の髙城俊人が入団。
髙城は球団の枠を越えて、偉大な高卒キャッチャーの大先輩 谷繁に教えを乞うた。
2013年には、ドラフト3位で亜細亜大学の嶺井博希が入団。開幕一軍を勝ち取り、翌2015年には一軍に定着。
そうした中、2人より年長の彼は入団してきた。
1990年4月11日生まれ。
鹿児島県肝属郡出身の28歳。
鹿屋中央高校から駒澤大学、NTT西日本を経て、2015年ドラフト4位で入団。
センターラインの強化を目指した新指揮官の目に留まり、ルーキーながら開幕スタメンマスクを勝ち取る。
正捕手として2年間活躍し、チームは19年ぶりの日本シリーズ進出を果たした。
2018年の開幕スタメンマスクも彼だった。
だが、捲土重来を期す2人の活躍に押されるように、屈辱の二軍降格。
しかし、そこにドラマがあった。
2018年7月1日。
横須賀スタジアム。
イースタン・リーグ公式戦。
対ファイターズ戦。
同じく二軍で調整を続けてきたハマの宇宙人 井納翔一とバッテリーを組んで、ノーヒットノーランを達成。
キャッチャーとして1つの勲章を手に、一軍の舞台に這い上がってきた。
7月4日には途中出場ながら、9回表に勝負を決定づける3点タイムリーツーベース。
そして、この日は駒澤大学の後輩「投げる哲学者」こと今永昇太と先発バッテリー。
「野球を楽しめ。相手に向かっていけ。どんな甘い球でも打ち取ったら正解。打たれたら俺のせいにしていい。反省するのは試合が終わってから」
力強い言葉に奮起した今永は粘りのピッチング。
6回110球3失点で2勝目。
打っては同点に追いつかれた直後の4回表に今季第1号ソロホームラン。
力で勝利をもぎ取った。
「二軍から這い上がってきて、目付き顔付きが違っていた。きっとやってくれると思います」(ニッポン放送解説のベイスターズOB野村弘樹)
これからが本領発揮の季節。
這い上がった男の強さを今こそ示す時。
脇目も振らず、優勝目指して突き進め!
奮い立て
横浜の大黒柱よ
さあ打て 飛ばせ
勝利への 扉をひらけ
横浜DeNAベイスターズ。
背番号10。
戸柱恭孝。
NO PAIN, NO GAIN.
痛みなくして得るものなし。
VICTORY is WITHIN US.
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