【読書記録】 いつの空にも星が出ていた 佐藤多佳子
「幸せだった。好きなチームと共にいる喜びは、言葉では説明できないものだ。日本一の頂上決戦の場で、息もできないようなぎりぎりの空気を共有している」
「だって、横浜は横浜だ。ベイスターズは横浜だ。どうしたって横浜じゃないか」
「本当に好きなものの話は、本当に好きな相手としか、本当にはできないものだ」
「119球投げて、10点取られて、7回までマウンドにいられる。それを監督が、チームメイトが、ファンが許すんだ。そんな投手は後にも先にもいねえよ」
「青かった。青かったよ。真っ青だったよ、ドームが青かったんだよ!」
「あの日、息子と一緒にスタジアムに行けて、幸せだって思えた」
1984年10月の神宮球場。
ガラガラのレフトスタンド。
万年最下位、横浜大洋銀行とまで言われたチームの37年ぶりの優勝争いに、38年ぶりの日本一。
閑古鳥の鳴く横浜スタジアム。
出口の見えないトンネルを歩き続けるような暗黒の2000年代。
得体の知れない新興IT企業への球団売却。
12球団最後のクライマックスシリーズ進出。
そして、史上最大の下克上を果たして絶対王者に挑んだ19年ぶりの頂上決戦。
誰にも想像できないドラマを演じ続けてきたチームとファンの珠玉の物語。
明日が見えない苦難の中でも。
空を見上げれば、星が出ている。
希望は輝き続ける。
球春到来。
新たなドラマは、まもなく始まる。
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