逆境のなかで咲く花 #21
2021年6月13日(日)
札幌ドーム
ベイスターズ 4-1 ファイターズ
勝 今永昇太 1勝1敗
S 三嶋一輝 1勝3敗11S
負 ドリュー・バーヘイゲン 1勝5敗
左腕が唸りを上げる。
北の大地に美しい投球フォームが映える。
ファイターズ打線を封じ込めていく。
7回。
打者27人。
被安打4。
失点1。
7回裏2アウト2塁のピンチ。
大田泰示を空振り三振に切って取った左腕は、拳を握り雄叫びをあげた。
1993年9月1日生まれ。
福岡県北九州市出身の27歳。
北筑高校から駒澤大学を経て、2015年ドラフト1位で入団。
「『援護がない』と言うのは防御率0点台の投手が言うこと」
「三振を取れる投手より、勝てる投手の方がいい。力のない人間は練習するしかない」
「今日は広島打線相手ではなく、過去の自分と勝負出来た」
その秀逸なコメントから、彼はいつしかこう呼ばれるようになった。
「投げる哲学者」と。
2019年から2年連続開幕投手。
侍ジャパンにも選出され、名実ともにハマのエースとなった。
だが、その左腕は悲鳴を上げていた。
勝負の夏場に戦列を離れた。
悩み抜いて左肩にメスを入れた
「もう一軍のマウンドには戻れないかもしれない」
ネガティブな気持ちと向き合いながら、懸命に復活を目指した。
「本当に多くの方にサポートしていただいていると、はじめてわかった。だからこそパワーアップして戻る」
開幕には、間に合わなかった。
チームは、苦しい戦いが続いた。
「僕が一軍にいなくても、ユニフォームやタオルを掲げてくれているファンの方々いる。この『声援』がどれだけ力になったかわからない」
声を出しての応援はできない。
球場への入場者数制限もある。
でも、熱き星たちの声は届いている。
心は、熱く伝わっている。
勝利の会見を聞きながら、同じことをかつて語った選手がいたことを思い出す。
2016年9月20日。
「引退をします。先発として勝てなくなったからです」
「自分が二軍にいても、背番号18のユニフォームを着て、スタジアムに応援に来てくださるファンの皆さんがいる。だからこそ、必ずここに戻ろうと決めていた」
この瞬間だけは、涙を堪えられなかった背番号18。
その現役最後の登板を前に、当時ルーキーだった左腕はブルペンにともに入った。
その姿を瞼に焼き付け、心に刻んだ。
かつてのエースが背番号を81にして、新監督として臨んでいる2021年シーズン。
遂にエースが帰ってきた。
戦いの最前線に帰ってきた。
「ここに帰ってこられて良かったという感情は自分自身のもの。とにかくチームが勝つこと。もっと上を目指していく」
2021年版哲学者語録もスタート。
鬼門の交流戦を3位で終えた。
だが、目指すのはもっと先。
もっともっと上だ。
横浜の熱い夏が、始まった。
左腕がうなれば
狙いは外さない
ピンポイントの技
攻めろ 攻めろ 昇太
横浜DeNAベイスターズ。
背番号21。
今永昇太。
THE FLOWER THAT BLOOMS IN ADVERSITY IS THE RAREST.
ピンチの時こそ自分が成長できるチャンス。
I☆YOKOHAMA
今こそ、横浜一心。
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