大田区からハマの星に祈りをこめて

ベイスターズの試合について熱く書いていきます。1試合に1選手。最も心揺さぶられた事に、全力投球! そしてフルスイングで!

ハマの小さな大魔神 母に捧げる200セーブ #19

2022年8月24日(水)
京セラドーム大阪
ベイスターズ 4-0 タイガース
勝 濵口遥大 6勝4敗
S 山﨑康晃 0勝2敗30S
負 伊藤将司 8勝5敗


9回裏。
2アウト1,2塁。
4点差はあるが、連続ホームランで同点となってしまうセーブシチュエーション。


あと1アウトで8連勝が決まる。
その時、背番号19がマウンドに呼ばれた。


わずか2球で試合を決めて見せた。


京セラドーム大阪の中心に歓喜の輪が広がる。


史上最年少での200セーブ。


偉大な記録が達成された。



1992年10月2日生まれ。
東京都荒川区出身の29歳。


人情味溢れる庶民の町で彼は育った。


小学校3年生の時に両親が離婚。
姉と共に母と暮らす事を選んだ。


だが週末になれば、少年野球のコーチだった父に会えた。
大好きな父とともに野球に没頭した少年時代だった。


「子供の頃、母と一緒にゆっくりご飯を食べた記憶はないですね」


朝から夜中まで不眠不休で働き、2人の子供を育てる母の背中に、少年は誓う。


「プロ野球選手になって、お母さんに恩返しする」


甲子園の常連、名門・帝京高校に進学。


2年生の時、強豪校の厳しい練習に、日々の学業との両立の壁にぶつかった彼は、母に告げる。


「お母さん、僕、野球辞める」


「何を言っているの! 自分で蒔いた種でしょ。自分で拾いなさい!」


どんなに辛くても涙一つ見せたことなどなかった母が、はじめて彼の前で泣いた。


タクシーに乗せこまれ、帝京高校へ。


校門には、監督とチームメイトが待ってくれていた。


「僕には、家族と野球しかない」


彼の腹が決まった。


甲子園に2度出場するも、ドラフト指名はならなかった。


「4年後に必ずドラフト1位でプロに行く」


更に強い決意で亜細亜大学に進学。


チームのエースとなり、大学日本代表にも選ばれる活躍。


2014年ドラフト1位でベイスターズに入団する。


「僕がドラフト会議で指名を受けた、あの日、一番指名を喜んでくれたのは、間違いなく、お母さんのベルでした」


開幕直前のファンミーティング。


「康晃、ストッパーやるか?!」


「はい、やります!」


当時ストッパー不在だったチーム。


中畑清監督の大博打に見えた決断にも、裏付けがあった。


チームは彼を、大学時代から「ストッパー候補」としてマークして調査していたのだ。


「小さな大魔神になります!」


プロ初セーブを記録した後、ヒーローインタビューで彼は満面の笑みで叫んだ。


そして、ウイニングボールを母に手渡し抱き合った。


2000年の金城龍彦以来、チームとして15年振りの新人王に輝く。


ハマスタに母と姉のために専用の席を用意した。


ファンに声をかけられれば、笑顔で応えるのは、親子共々。


「その人の思い出に残るように5秒間念じてサインをしています」


ハマスタを訪れる少年少女へのサイン入りグローブプレゼントも、ハマの番長三浦大輔の引退後、彼が引き継いでいる。


2018年、2019年シーズンにセーブ王。


「今年は3回胴上げ投手になります。
 リーグ優勝。日本シリーズ。そしてハマスタで開催される東京オリンピックです」


強い決意で臨んだ2020年シーズン。


世界中をパンデミックが襲う。


彼にも異変が起こる。


3か月遅れで始まったシーズン。
観客のいないスタジアムで、ふがいない投球が続く。


気が付けば、ストッパーの座を追われていた。


最愛の母との別れもあった。


2021年シーズンが終わり、指揮官から減量を命じられる。


今一度原点に立ち返り、生活から見直した。


8kg減少して、キャンプイン。


開幕からストッパーの座を取り戻した。


チームは奇跡的な快進撃を続け、優勝争いができるまでになった。


勝利の輪の中心にいるのは、常に背番号19。


彼は、母に手紙をつづった。


「実力者ばかり集まるプロ野球の世界で活躍出来ているのは、ベルが強く、丈夫に産んでくれたからです」


「今でも僕がマウンドに立つ姿を見て、喜んでくれていますか?」


「僕が一番感謝を伝えたい人はベルさんです。どんな時も味方で居てくれて、一番応援してくれて、一番褒めてくれる。そんなベルさんに本当に心から感謝しています。ありがとう」


「そして、これからも、強い気持ちを持って、マウンドに立ち続けます。ベル大好きです。あいたいです。ありがとう」


たたかうぞ
闘志みなぎらせて
勝利の海
行くぞベイスターズ


横浜DeNAベイスターズ。
背番号19。
山﨑康晃。


TAKE PRIDE IN YOUR WORK.
自分の仕事に誇りを持つ。


横浜反撃。
I☆YOKOHAMA!